サッカー

チェルシー、不調の原因は?

チェルシーはこのところ絶不調。先日のワットフォードとのアウェイ戦でも、4-1で敗北しています。格下相手に惨敗のチェルシー。年が明けてから、勝利を収めたのは、FAカップでの対ニューカッスル戦のみです。

2月20日には、チャンピオンズ・リーグでの対バルセロナ戦が迫っています。チェルシーは、この試合までに調子を取り戻せるのでしょうか。

チェルシーの不調の理由を、さまざまな観点から考察してみましょう。

アントニオ・コンテ

今シーズン、コンテ監督は、不満がたまっています。特に、2018年になってから、彼の愚痴はレベルアップ。資金不足でお目当ての選手を獲得できず、ご立腹のようです。契約した選手は、第3や第4候補の選手ばかり。資金面だけでなく、ネマニャ・マティッチを流出する結果になったことにも、納得がいかないようです。コンテは、選手層が薄くなったことに嘆いていますが、在籍している選手をフル活用できていないのも事実。例えば、ミシー・バチュアイは、機会があればゴールを決めていたにもかかわらず、ローンで放出しています。

コンテ監督とロマン・アブラモヴィッチの関係は、良好とは言えず。コンテ監督は、アブラモヴィッチに対して挑戦的な発言を続けています。アブラモヴィッチは、モウリーニョなどの名監督でもばっさりと解雇しているオーナー。チェルシーの不調やコンテの発言を受けて、アブラモヴィッチはどのような対応に出るでしょうか。

経営陣

経営陣からのサポートや、選手への投資に関しては、コンテの言うことに一理あります。アブラモヴィッチがチェルシーを買収したあと、モウリーニョ監督率いるチームは、勝ち点95という好成績でプレミア・リーグ優勝を果たしますが、翌年はプレミアで優勝はするものの、前年ほどの強烈な印象を残すことはできず。カルロ・アンチェロッティ監督も、2シーズン目で解任され、ジョゼ・モウリーニョもプレミア・リーグの優勝杯を掲げた6ヶ月後に契約解消されることに。経営陣は、監督1人につき、1回の優勝を期待しているようで、これまでに築いてきたチームを維持する気はないのでしょうか。

マイケル・エメナロがチェルシーのテクニカル・ディレクターから去ったことでも、コンテ監督とチェルシーの亀裂が大きくなりました。エメナロはスカウトなどでもチームに貢献。彼の役割は、マリナ・グラノフスカイアが引き継ぎましたが、彼女はアブラモヴィッチ寄りのスタッフです。

移籍ポリシー

コンテ体制での移籍ビジネスは、失敗が多い傾向にあります。エンゴロ・カンテとアルバロ・モラタは良いトレードでしたが、そのほかの移籍契約は残念な結果。ダニー・ドリンクウォーターやロス・バークリーなど、チェルシーにいるのが不思議なぐらい。そして、ネマニャ・マティッチの代役として期待されたティエムエ・バカヨコも、思うような活躍をできていません。

最近のチェルシーはお財布の紐が硬い様子。大金をはたいて良い選手を獲得する時代は、終わったのでしょうか。チェルシーは、エデン・アザールが加入した2012年以降、移籍にお金を費やしていません。逆に、ポール・ポグバ、アレクシス・サンチェス、ロメル・ルカク、ジョン・ストーンズ、アレックス・オックスレイド=チェンバレン、フィルジル・ファン・ダイクなどの、優秀な選手をライバル・チームに手渡しています。

若手

アブラモヴィッチがオーナーになってから、チェルシーは若手育成に資金を費やしています。投資の対象は、選手およびコーチ。イーサン・アンパドゥは去年の夏にエクセター・シティから加入し、ディフェンスとして高いポテンシャルを見せています。一方、ルーベン・ロフタス=チークは、クリスタル・パレスにローン移籍中。サポーターは彼のプレイをチェルシーで見たいようです。ルーベン・ロフタス=チークは今シーズン、バカヨコよりも高い評価を残しています。

チェルシーU23は、チェックトレード・トロフィーの準決勝まで進出。これまでの育成チームもUEFAユース・リーグで優勝するなど、クオリティの高いプレイを見せています。しかし、チェルシー1軍に進んでくる若手は少なめ。多くの若手選手は、プレミア・リーグの他チームにトレードされていきます。そして、新たな地で大活躍するのです。

リーダーシップの欠如

ジョン・テリーの代役を見つけるのは、一筋縄ではありません。テリーはチェルシーのユースから、1軍へと加入し、キャプテンにまでなりました。彼はリーダーのスキルに長けていたのですが、今のチームはどうでしょうか。今のチェルシーには、失点した際に、チーム全体の気持ちを切り替え、選手をまとめる存在がいないように見えます。テリーだけでなく、フランク・ランパードやディディエ・ドログバも、リーダーとしての才能を持っていました。今のチームでは、ガリー・ケーヒル、セサル・アスピリクエタ、セスク・ファブレガスなどのベテラン勢が、厳しい状況のときに、チームを励ますべきでしょう。

マンチェスター・シティ

プレミア・リーグ1位をだんとつでキープするマンチェスター・シティ。ワットフォードに敗北したことで、チェルシーは4位となりました。マンチェスター・シティとの差は、19ポイントにおよびます。トッテナムの調子があがっているので、リーグ終了まで4位を維持できるかも心配です。今シーズンのプレミア・リーグはマンチェスター・シティが他チームを引っ張っている状態。4位のチェルシーは、かなり不利な状況にいます。

 

執筆:Dominic Trant

意訳:Natsuki Nishi

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