サッカー

今のアーセナルに必要なものとは?

最近、伸び悩んでいるアーセナル。前回のボーンマス戦も、2-1で落としてしまいました。去年のチャンピオンズ・リーグでは、決勝トーナメントまで進出したものの、バイエルン・ミュンヘン相手に、2戦合計で2-10と完敗。今シーズンのプレミアリーグに関しては、現在6位と低迷中です。

ここで、アーセナルの現状を確認してみましょう。

アーセン・ベンゲル

チームが不調なときに、批判を受けるのは監督。ベンゲル監督はバッシングされても、選手に責任転嫁することはありません。チームが不調なときに、彼が非難するのは常に審判です。

ベンゲルはチームで、ほぼ全ての決断権を握っています。満足できない試合結果や、うまくいかない契約交渉は、監督である彼の責任です。

ベンゲルは、トップチームとアーセナルの間には、力の差があると感じているようで、実際にプレミアリーグでの順位もぱっとしません。

メンタル面

アーセナルは、非難に弱く、メンタル面に問題があると言えます。アウェイの試合を不得意とするようで、8月の対リヴァプールおよびストーク・シティのアウェイ戦では一点も奪えず敗北し、マンチェスター・シティやボーンマスとのアウェイ戦でも黒星。WBAやウェストハムにも引き分けで終わり、アウェイ戦は悲惨な結果となっています。

これもベンゲルに責任があるでしょう。ジョゼ・モウリーニョやショーン・ダイクなどのプレミアリーグ監督は、アウェイ戦ではアウェイ用にチームを編成し、中盤から守りに入り、ディフェンス・ラインも固めています。これは、ホームチームの勢いを抑え、試合に柔軟に挑むためです。

メンタルの弱さは、チーム全体に影響します。前回のチャンピオンズ・リーグの敗因は、必要とされていた変化を生み出せなかったところにあります。これから、チームに変化がもたらされるのかどうか、要注目です。

リーダー

アーセナルには、チームをまとめるリーダーがいません。パトリック・ヴィエラが、アーセナルでリーダーを見事に勤めあげましたが、これは12年前の話。

昨シーズンは、アレクシス・サンチェスが、チームのリーダー的存在でしたが、チームメイトには、技術を磨くように言いながら、自身は気性が荒いと非難され、チームから去ると見られています。サンチェスとほかの選手たちは、お互いの関係にうんざりしているようですが、サンチェスを慕う選手も、まだいるようです。

アーセナル・スタッフ

アーセナルでは、経営の大幅な見直しが行われている模様です。

バルセロナでディレクター・オブ・フットボールを勤めたラウール・サンレヒが、アーセナルのスポーツ部門幹部に任命されました。アーセナルは、スカウト部門のトップにスヴェン・ミズリンタットも迎え入れています。さらに、契約交渉人としてフース・ファーミー、パフォーマンス向上担当としてダレン・バージェスも、アーセナルに加入しています。

元ゴールキーパーのイェンス・レーマンとサル・ビボは、コーチとしてアーセナルに仲間入り。レーマンは特に注目を集めていて、ベンゲル監督がベンチ入り禁止処分中には、監督の隣に座っていました。

このような構造改革は最近始まったばかりですが、アーセナルは、ベンゲル退任後の準備を着々と進めているようです。

サポーター

アーセナルの試合は、YouTubeでも観られるようになりました。それでも、アーセナルのサポーターは熱く、他のサポーターたちよりも応援に多くの費用を使い、アウェイ戦にも駆けつけます。

この前の日曜の試合では、サポーターは、サンチェスとエジルがいないアーセナルの将来を考えたことでしょう。どちらの選手が欠けても、チームの行き先は不安です。

12年前、アーセナルはハイベリーからエミレーツ・スタジアムに移り、ヨーロッパ最強のチームになると誓いました。しかし、サンチェスは、マンチェスター・シティかマンチェスター・ユナイテッドへ移籍予定。このように、優秀な選手がライバル・チームに続々と移籍していることで、サポーターたちががっかりしていることは間違いありません。

チームが負けるごとに、反ベンゲル派が増加しています。ライバルのトッテナムは現在5位で、アーセナルとの差は5ポイント。サポーターはこの結果に満足できるわけがありません。

契約問題

監督に関して、様々な議論がなされていますが、ベンゲルは去年の夏に、監督契約を2年延長しました。サンチェスとエジルは契約を延長せず、サンチェスは近々移籍予定。

移籍する可能性がある選手は、この2名だけではありません。最近活躍しているジャック・ウィルシャーは、今シーズンの終わりにフリー移籍が可能になります。アーロン・ラムジーの契約も、もうすぐ終了。さらにアーセナルは、アレックス・オックスレイド=チェンバレンを、契約終了前に放出しています。ちなみに彼は、アーセナルがボーンマスに敗北した日に、移籍先のリヴァプールで最高のパフォーマンスを披露しました。

タイミング

どんなことでも、タイミングが一番大切。近年のアーセナルは、タイミングを見誤っています。まず、ベンゲル監督の契約を更新したことで、ジョゼップ・グアルディオラ、ユルゲン・クロップ、カルロ・アンチェロッティなどを、新たな監督として迎え入れる機会を逃しました。

アーセナルは、移籍のタイミングを見計らうのも苦手です。ペップやモウリーニョは、夏の契約期間に、お目当ての選手を取得済み。そして、プレシーズンを新体制のチームで戦っています。ベンゲルは大抵、移籍提示額にためらい、移籍期間最終日に大慌てで大金を支払っています。

入れ替わり

ベンゲルが監督を退任していたら、アンチェロッティが新監督になっていたかもしれません。ただし、ベンゲルの監督契約は更新されました。契約が満了するのは来年。それまでに、チェルシーがアントニオ・コンテに別れを告げて、アンチェロッティに監督再就任を依頼する可能性があります。

選手の見直しも必要。もしアーセナルの選手たちが、自由に移籍してよかったら、何人の選手がチームに留まるでしょうか。さらに、今シーズンを6位またはそれ以下で終えたら、何人の選手がチームに加入してくれるでしょうか。

ライバル

アーセナル・サポーターにとっては辛い事実かもしれませんが、アーセナルとトップチームとの力の差は、どんどん広がっています。最近の対チェルシー戦は同点で終え、トッテナムに対しても勝利を収めているのですが、それでも、トップを走るマンチェスター・シティとの間には23点も差が存在しています。本当のライバルを、明らかにする必要があるかもしれません。

ビッグマッチでの弱さ

この何年か、アーセナルはビッグマッチで結果を残せていません。さらに今年は、ビッグ6以外のチームとの試合にも苦戦。ストーク・シティ、ワットフォード、サウサンプトン、WBA、ウェストハム、ボーンマスは、今シーズン、アーセナルから勝ち点を奪っています。また先日に、ノッティンガム・フォレストに敗北したため、今年はFAカップ優勝への道が閉ざされてしまいました。

 

執筆:Dominic Trant

意訳:Natsuki Nishi

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