1886年12月1日、ウーリッジ地区にあった王立兵器工場(ロイヤル・アーセナル)の労働者によって、ダイアル・スクエアというサッカーチームが編成されます。これが、今のアーセナルのはじまり。工場の入口に合った日時計(サンダイアル)にちなんで、ダイアル・スクエアと名付けられましたが、1カ月後には、工場全体を示すロイヤル・アーセナルにチーム名を変更します。そして、ロイヤル・アーセナルの拠点は、ロンドン南東部でした。
1893年、彼らは再び名称を変更します。新しいチーム名は、ウーリッジ・アーセナル。チームは20年間、この名前を名乗りますが、ハイベリーに拠点を移したのを機に、アーセナルという名で戦うようになりました。
アーセナルのユニフォームと聞いたら、赤ベースに白袖のシャツと白色のパンツを思い浮かべるでしょう。しかし、アーセナルは誕生から、このアーセナルカラーを身にまとっていたわけではありません。ダイアル・スクエアの結成当初、クラブはユニフォームの調達に苦戦していましたが、ノッティンガム・フォレストからの寄付により、濃い赤のシャツ、白パンツ、青地に白ラインのソックスをユニフォームとして着用します。このオリジナルカラーは、アーセナルの歴代ユニフォームにこの後2回、再登場します。1回目は1966/67シーズンのこと。しかし、あまり好評ではなく、次のシーズンには白袖が復活します。2回目の登場は2005/06で、ハイベリーにあったアーセナル・スタジアムに別れを告げたシーズンです。
初代ユニフォームのデザインは、1933年まで使用されましたが、この年に、赤のボディに白袖という、アーセナルを象徴する配色がユニフォームに採用されます。このデザインの採用理由には、2つの説があります。1つは、監督のハーバート・チャップマンが、白いシャツの上から赤いシャツを着たサポーターをスタンドで目にしたからという説。もう1つは、チャップマンのゴルフ仲間であるトム・ウェブスターからインスピレーションを得たというもの。どちらが正しいのかは不明ですが、この色の組み合わせはアーセナルのシンボルとなりました。
アウェイのユニフォームも見てみましょう。1969年まで、アウェイのユニフォームは、白のシャツ、黒または白のパンツがお決まりでした。しかし、アーセナルは1969/70シーズンに、黄色のシャツと青色のパンツをアウェイで着用。1978年から1980年までは、黄色のアウェイユニフォームで、3年連続FAカップのファイナルに出場しました。これ以降、幸運を呼ぶ黄色と青色ユニフォームとされ、ホームのユニフォームと同じぐらい、象徴的な配色となっています。ただし、アウェイ用ユニフォームの色彩はさまざまで、青、ゴールド、ダークグレーなどのカラーが採用されています。
1990-92のホームユニフォーム
メーカー:Adidas
1990/91シーズンのアーセナルは、このユニフォームを着用して、プレミアリーグ優勝を果たします。このシーズン、アーセナルはチェルシーに一度負けただけで、ほかの試合は全勝。アラン・スミスは27得点を記録し、得点王に輝きます。その他、デビッド・シーマン、トニー・アダムス、リー・ディクソン、スティーブ・ボールド、デイヴィッド・ローカッスル、ポール・マーソンなどが、このユニフォームに袖を通しました。
1997/98のホームユニフォーム
メーカー:Nike
アーセン・ベンゲルがフルシーズンで初めて指揮をとったシーズンで、このユニフォームが着用されました。このシーズン、アーセナルはプレミアリーグとFAカップの2冠を達成。マルク・オーフェルマルスとエマニュエル・プティが、アーセナルに仲間入りしますが、デニス・ベルカンプが得点に貢献したシーズンでした。
1997-99のアウェイユニフォーム
メーカー:Nike
ここでアウェイのユニフォームをご紹介しましょう。幸運の黄色のシャツにブルーのストライプをあしらったデザインです。オーフェルマルス、ベルカンプ、パトリック・ヴィエラなどのレジェンドたちが、2シーズンを通して着用しました。
1999/2000のホームユニフォーム
メーカー:Nike
この年のアーセナルは、絶好調とは言えませんでした。プレミアリーグは2位でシーズンを終え、チャンピオンズリーグはグループステージで敗退しています。ただし、UEFAカップでは準優勝。このシーズンのユニフォームは、赤ボディに白袖というクラシックなものでした。
2002-2004のホームユニフォーム
メーカー:Nike
アーセナルの無敵軍団が着用した、このユニフォーム。2003/04シーズンのアーセナルは、このユニフォームで、無敗優勝という歴史的な記録を残します。ティエリ・アンリが当時の大スターで、2シーズンで通算71得点をあげました。
2002/03のアウェイユニフォーム
メーカー:Nike
アーセナルは2位で2002/03シーズンを終えますが、この年のアウェイユニフォームは例年とは一味違います。ブルーのグラデーションのシャツに、袖を赤で縁取りした美しいユニフォーム。1シーズンでしか使用されなかったのが、もったいないぐらいです。
2005/06のホームユニフォーム
メーカー:Nike
いつもとは違う赤が採用された、このユニフォーム。ハイベリーとの別れを記念してデザインされました。この深みのある赤色は、アーセナルの初代ユニフォームと同じ色です。このユニフォームをまとって、長年戦ってきたハイベリーに別れを告げました。
2005/06のアウェイユニフォーム
メーカー:Nike
2005/06シーズンのホームユニフォームは、アーセナルの原点に戻りましたが、アウェイユニフォームでは、定番の黄色が採用されました。このアウェイユニフォームは、2006年のチャンピオンズリーグ決勝戦を、選手と共に戦います。残念ながら、バルセロナ相手にこの試合を落としてしまいますが、もし勝てていたらアーセン・ベンゲル時代の絶頂期と呼べたでしょう。アーセナルは、翌年にエミレーツ・スタジアムに移ってから、思うような成績を残せていません。
2010/11のホームユニフォーム
メーカー:Nike
2008-2010シーズンでは、袖まで赤色のユニフォームが採用されていました。しかし、2010/11シーズンで、伝統的な白袖が復帰。さらに、1970年代のデザインを意識して、首周りが白色で縁取りされました。この年のアウェイユニフォームがぱっとしないデザインだったので、ホームユニフォームが輝きを取り戻して一安心でした。
2011/12のホームユニフォーム
メーカー:Nike
前シーズンのユニフォームと大きな違いはありませんが、2011/12シーズンは、クラブ誕生125周年。これを記念して、スペシャルエディションのユニフォームが作成されました。紋章の左側にデザインされた15枚の月桂樹の葉は、1886年にウーリッジでクラブを設立した15人の男たちを表しています。紋章の右側にあるオークの葉は、この15人がチーム創設を決めた場所であるロイヤル・オーク・パブを意味しています。
来シーズンのユニフォーム
メーカー:Puma
アーセナルの次のユニフォームは、過去と現在を祝福するデザインになるとのこと。伝統的な赤と白の組み合わせは保ち、モダンなシルエットに、歴史を感じさせる深みある赤色が採用されるようです。
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