サッカー

U-20 Wカップの最優秀選手は将来必ずスター選手になれるのか?

6月10日、U-20Wカップにてイングランドが優勝を果たしました。リバプールのストライカー ドミニク・ソランケ が、リオネル・メッシやセルヒオ・アグエロなどのスーパースター達と並ぶ、ゴールデンボールを受賞しましたが、U-20Wカップの最優秀選手の将来の成功は、必ず保証されるのでしょうか?

過去数回のFIFA U-20Wカップの記録より、ジュニアレベルのWカップでの勝利と将来の一軍チームでの活躍の関係を検証してみました。

1997年 アルゼンチン大会

このアルゼンチン大会は、フアン・ロマン・リケルメ、エステバン・カンビアッソ、ワルテル・サムエルなどのスター達を輩出しました。しかし、最高得点を挙げたベルナルド・ロメオはその後、他のチームメイトたちのような活躍を続けることができませんでした。 代表チームとしての出場は4回のみ、ほとんど国内でのプレーに留まり、サン・ロレンソ所属の2012年に引退しています。

1999年 スペイン大会

このスペインの大会は、シャビ・エルナンデスやイケル・カシージャスなど、2006-09年スペイン代表チームを成功に導いたレジェンド選手たちを輩出しました。しかし、彼らの攻撃を誘導した、元イプスウィッチのパブロ・コウナゴは、代表に選ばれることはありませんでした。対照的にシャビとカシージャスの2人を合わせると、チャンピオンズリーグ7回、国内リーグ300回出場、13回優勝という偉業を成し遂げました。

2001年 アルゼンチン大会

ハビエル・サビオラは、2001年のU20W杯にて7試合で11ゴールを決め、ゴールデンボールとゴールデンブーツを受賞しました。 その後、自国アルゼンチンのリーベル・プレートやヨーロッパリーグで優勝を重ねました。ポーツマスでプレーをしたアンドレス・ダレッサンドロも、サビオラと共にこの年のアルゼンチン代表チームに選ばれ、2004年のオリンピックでは金メダルを獲得、同年におこなわれたコパ・アメリカでは準優勝を果たしました。

2003年 ブラジル大会

このブラジルチームにはダニエウ・アウヴェスとフェルナンジーニョがいましたが、最も活躍した選手は、UAEで7試合4ゴールを挙げたドゥドゥ・セアレンセでした。その後ドゥドゥは複数のチームを渡り歩きながら活躍を続け、アウヴェスは史上最高のライトバックの1人として活躍しました。大会のゴールデンボールを受賞した、UAEのイスマイル・マタルは生涯母国のアル・ワフダでプレーを続けました。

2005年 アルゼンチン大会

この大会が輩出した史上最高選手の1人リオネル・メッシは、ゴールデンボールを獲得し、アルゼンチンチームの見事な記録に貢献しました。2005年は誰もが17歳のメッシに熱狂する1年となり、その後も5回のFIFAバロンドールを受賞など、期待に応えるどころか、それ以上の活躍を見せたのは誰もが知るところです。

2007年 アルゼンチン大会

アルゼンチンの連勝で終えたこの大会では、もう1人のストライカーセルヒオ・アグエロが大活躍しました。彼は、大会決勝の先制点を含む6ゴールを挙げ、ゴールデンブーツとゴールデンボールを受賞しました。 アグエロは世界最高の得点ストライカーの1人となった一方で、チームメイトで決勝戦でのもう1つのゴールを決めたマウロ・サラテは多くのクラブを転々としながらプレーを続けています。

2009年 ガーナ大会

ガーナは、2009年のU-20W杯の決勝でブラジル相手にPK戦を制し、アフリカ初、アフリカ唯一の優勝国となりました。 ドミニク・アディアーは7試合8ゴールと大活躍をしましたが、その後のキャリアは下降線をだどりました。 U-20大会の後ACミランと契約しましたが出場できず、現在はタイのナコーン・ラーチャシーマーに所属しており、58試合に出場38ゴールを記録しています。

2011年 ブラジル大会

元チェルシーのオスカルは決勝でハットトリックを記録しましたが、最優秀選手に選ばれたのはエンリケでした。しかしオスカルとは対照的に、エンリケはその後ほとんど活躍しておらず、唯一の目立った記録は2015年のコリチーバでの20試合出場、12ゴールとなっています。 同チームのダニーロとカゼミーロは現在レアル・マドリードに、アレックス・サンドロはユヴェントスに所属しています。

2013年 フランス大会

フランスチームのポール・ポグバ、サミュエル・ユムティティ、ジョフレイ・コンドグビア、クル・ズマはその後もヨーロッパのトップチームで 活躍を続けていますが、チームメートであったポール・シャローは対照的に、現在フランスのリーグ・ドゥのパリFCにレンタル移籍しプレーしています。

2015年 セルビア大会

2015年、マンチェスター・シティのストライカー、ガブリエル・ジェズスを有するブラジルは決勝進出を果たしましたが、セルビアに敗れました。 大会のスター選手としては、計3ゴールに抑えゴールデングローブを受賞したゴールキーパーのプレドラグ・ライコビッチ、そして決勝ゴールを決めたアンドリヤ・ジヴコヴィッチが挙げられます。ジヴコヴィッチはセルビアの代表チームに最年少で選出され、また、ベンフィカで3冠も達成しました。ライコビッチは現在マッカビ・テルアビブのチームで活躍しています。